ネオプレテックス株式会社
コラム
COLUMN
2025.04.25

銅めっきの活用シーンを拡大するための設計上の工夫

更新日:2025.11.05

銅(Cu)めっきは「電気をよく通す」「はんだ付けがしやすい」「電磁波を遮る(シールド)」といった特長があります。ちょっとした設計の工夫で、使える場面がぐっと増えます。ここでは難しい専門用語をできるだけ減らして、ポイントだけを分かりやすくまとめました。

3つのポイント

  • 目的をはっきり(導電・はんだ・見た目・シールドなど)→図面やメールで共有
  • 形状のひと工夫(角を少し丸く、溝は排液穴を用意)→厚みムラを減らす
  • 重ね使いで長所を伸ばす(銅+ニッケルなど)→拡散や変色を抑える

どんな場面で使える?(例)

  • 電子パーツ・趣味の工作:配線や端子の導電性をアップ、はんだ付け性を改善
  • 電磁波シールド:小型機器のケース内側に銅めっきでノイズ対策
  • 装飾・下地:銅色の風合い、のちの金・ニッケルめっきの下地として

設計のコツ(やさしく)

  • 角を少し丸く:角はめっきが付きすぎたり色が変わりやすいところ。
    →軽い面取りやRをつけるだけで仕上がりが安定。
  • 穴・溝には「抜け道」:深い穴や細い溝の奥はめっきが薄くなりがち。
    →小さな排気・排液用の穴を設計に入れておくと均一になりやすい。
  • 触れてほしくない所は「マスク」:ねじ山・差し込み部・滑る面などはめっきしない指示を図で明確に。
  • 治具(つかむ所)の痕:製品をつかむ位置は小さな痕が残ることがあります。
    目立たない面を指定しておくと安心。

仕上がりを広げる「重ね使い」

  • 銅のみ:導電・はんだ重視。屋内向け、コストを抑えたい場合。
  • 銅+ニッケル:上にニッケルを薄く重ねて変色や拡散を抑制。はんだや金メッキと組み合わせる前の下地にも。
  • 銅+トップコート:外観品ならクリアコート等で色味の変化を抑えて長持ち

発注前の簡単チェックリスト

  • 目的は?(導電/はんだ/シールド/外観)
  • 使用環境は?(屋外・海沿い・汗や油・薬品に触れる など)
  • 素材は?(鉄/ステンレス/真ちゅう/樹脂 等、分かる範囲でOK)
  • 見せ面・非見せ面(特にキレイにしたい面を指定)
  • マスクが必要な所(ねじ・差し込み部・滑る面)
  • サイズと数量・納期(大きさ・点数・希望納期)

長持ちさせる使い方

  • 使った後は水拭き→乾拭きで汚れを残さない
  • 汗・海水・薬品が付いたら早めに洗い流す
  • 硬いタワシ・強い研磨剤は傷の原因(変色やサビの起点)

よくある質問(Q&A)

Q. 銅めっきだけで大丈夫?
用途次第です。はんだや金と組み合わせる場合は、上にニッケルを薄く重ねると性能が安定することがあります。

Q. 角が少し黒っぽくなるのはなぜ?
角はめっきが「つきすぎ」やすい場所。角を少し丸くすると改善しやすいです。

Q. 樹脂パーツにもできる?
種類によっては可能です(特殊な前処理が必要)。材質名用途を教えてください。

免責・不明点

  • 本記事は一般的な目安です。最終仕様は加工会社の設備・標準に合わせて決めます。
  • 具体的な膜厚・価格・納期は品物や数量で変わります。本記事では統一の数値は確認できていません
  • 環境条件(屋外、塩害、薬品、高温など)によって必要な処理や重ね順が変わります。必ず用途をお伝えください。

参考情報

  • 銅めっきの基礎解説(導電性・はんだ付け性・シールド特性の概要)
  • 前処理・マスキング・治具痕に関する一般的な注意点
  • 仕上げの重ね使い(銅+ニッケル+トップコート等)の考え方

最終更新:2025年11月5日(日本時間)。仕様や推奨は更新される場合があります。詳細は加工会社へご相談ください。

投稿者プロフィール
ネオプレテックス株式会社
ネオプレテックス株式会社
群馬県高崎市にある老舗のめっき会社。クロムめっき、ニッケルめっき、銅めっきなどを手掛ける。
大型の層を配備しており、長尺物などに対応可能。