ネオプレテックス株式会社
コラム
COLUMN
2025.08.22

装飾用途におけるクロムめっきの色調設計と仕上がり品質

更新日:2025.11.28

装飾クロムは色調(色味・ツヤ)外観品質(ムラ・ピンホール・均一感)が命です。初心者でも失敗しないよう、色の決め方・図面の書き方・検査のポイントをやさしく整理しました。

ポイント

  • 色は浴種と下地Niで決まる三価クロムはややグレー傾向、六価クロムは青みのある銀色傾向(一般論)。仕上がりは下地Niのツヤで大きく左右。
  • 見せ面を明示「ここを最優先で美しく」の指示が、研磨・層構成・検査を的確にする近道。
  • 色見本で合意写真では誤差が出やすいので、実物サンプルまたは色票を使って事前合意。

色調設計の基本(やさしく)

要素役割ポイント
下地ニッケル(Ni)色味・ツヤの土台半光沢Niで落ち着いた反射、光沢Niで鏡面感。下地外観=最終外観に直結。
クロム層(Cr)最終の色合い・耐候三価はややグレー系、六価は青みの銀色系(一般的傾向)。浴・条件で微調整。
研磨・前処理鏡面度研磨不足は曇り・スジの原因。番手の上げ方とバフの当て方で差が出る。
形状見え方の均一性角・エッジは過厚や焼けに注意。軽い面取りRと治具設計で均一感UP。

希望色の伝え方(実務のコツ)

  • 色票/実物サンプルで合意:「明るい銀色」「ダークめ」など言葉のみはNG。基準見本を渡す。
  • ツヤの段階:鏡面/半光沢/マットのいずれかを選択。半光沢は指紋・微傷が目立ちにくい。
  • 部位差の許容:深穴・内面は暗く見えやすい。許容の範囲を先に決める。

図面・見積で書くべき事項

(例)
仕上げ:装飾Ni/Cr(半光沢Ni+光沢Ni+Cr)/色味=基準見本No.○○に合わせる。
見せ面:写真で指定(ここを最優先)。治具痕は非見せ面。
外観基準:見せ面:ピンホール/ムラなし、鏡面等級○。
膜厚:代表測定点A,B,Cにて Ni t=○μm以上、Cr t=○μm以上(エッジ±××mm除外)。
試験(必要に応じ):外観、膜厚(XRF)、CASS ○h 点食なし。

仕上がり品質を上げる形状配慮

  • 面取りR:角の焼け・過厚・スジの抑制。
  • 排液/排気穴:深穴や裏リブの液溜まり・色ムラを防ぐ。
  • マスキング:ねじ・嵌合・シール面は最初から「めっき不要」で指定。

検査・合否の決め方

  • 外観検査:検査距離・照明条件を固定。見せ面はピット/スジ/ムラNG。
  • 膜厚:指定点でNi/Crを測定(XRF)。結果を記録。
  • 耐食(必要時):CASSやNSSの短時間で点食の有無を確認。

よくある不具合と対策(早見表)

症状主因の例対策
色ムラ・曇り下地研磨不足、浴条件ばらつき研磨手順の見直し、浴管理の安定化、基準見本で見た目合意
ピンホール・スジ前処理の残渣、微粒子混入洗浄強化、フィルタ循環、活性炭処理(必要時)
角の焼け・過厚電流集中面取りR、補助電極、治具位置の最適化
内面が暗い回り込み不足姿勢変更、補助電極、排液穴の追加

メンテで色とツヤを保つ(ユーザー向け)

  • ぬるま湯+中性洗剤→しっかり乾拭き
  • 月1回の保護コーティング/ワックス(薄く)。
  • 強研磨・金属たわし・メラミンは傷の原因でNG。

Q&A(短く)

Q. 三価クロムでも鏡面の明るい銀色にできますか?
下地Niの鏡面度と浴のチューニングで可能です。見本で色味を合わせてください。

Q. 色差の合否はどう決める?
実物の基準見本と目視等級、可能なら色差計(ΔE)を補助的に使用します。

Q. 指紋が目立つのが気になる。
半光沢仕上げを選ぶと目立ちにくくなります。定期的な拭き上げと保護剤で改善。

免責・不明点

  • 本記事は一般的な目安です。色味・外観・膜厚・価格・納期は品物と設備で変わります。
  • 具体的な数値の業界統一基準は用途や規格で異なり、本記事時点では確認できていません。案件ごとに合意してください。
  • 薬品・環境・安全の要件は最新の公式情報に従ってください。

最終更新:2025年11月28日(日本時間)。本記事は本記事時点の公知情報に基づいています。

投稿者プロフィール
ネオプレテックス株式会社
ネオプレテックス株式会社
群馬県高崎市にある老舗のめっき会社。クロムめっき、ニッケルめっき、銅めっきなどを手掛ける。
大型の層を配備しており、長尺物などに対応可能。