治具搬送・薬液管理・検査を自動化すると、ばらつき低減(品質安定)と人件費・歩留まり改善(コスト削減)を同時に達成できます。本記事は、めっきラインの自動化ポイントを「工程」「計測」「品質保証」「投資回収」の順に整理し、図面・見積に流用できる雛形を提示します。
目次
| 領域 | 自動化対象 | 狙い | 要点 |
|---|---|---|---|
| 前処理 | 搬送ロボット、タイマー制御、超音波/噴流洗浄 | 脱脂・活性の再現 | 浸漬秒数と液温の固定、キャリーオーバー低減 |
| 電解/無電解 | 電流・電圧・温度・pH・濃度の自動制御 | 膜厚均一・欠陥低減 | 立ち上げランプ制御、補助電極/極間の自動調整 |
| 搬送・治具 | AGV/コンベア、姿勢トラッキング | 人的差の排除 | 滴下時間・排液角度の規格化 |
| 検査 | インラインXRF、画像検査(傷・ピンホール) | 全数/準全数化 | A/B/C測定点の標準化、照度・距離の固定 |
| 薬液管理 | 連続ろ過、補給自動化、活性炭・イオン交換の自動運転 | 浴劣化の抑制 | 濃度・導電率・ORPの上下限アラーム |
仕様:自動化めっきライン(前処理〜めっき〜洗浄〜乾燥)。搬送タクト=○○秒、姿勢=治具No.○、滴下=○秒。
薬液管理:温度○±○℃、pH○.○±○、金属濃度○±○ g/L、ORP○±○ mV、連続ろ過△μm。
膜厚:XRF測定点A/B/C、目標t=○ μm、下限=○ μm(ISO表記に準拠)。
外観検査:照度○lx、距離○cm、角度○°、等級票No.○。
トレーサビリティ:ロットID・治具ID・計測ログ(CSV)を添付。
除外:ねじ・嵌合・シール面はめっき除外(マスキング)。
| 症状 | 従来原因 | 自動化の対策 |
|---|---|---|
| 膜厚ばらつき | 浸漬時間・姿勢の人差 | 搬送タクト固定、姿勢トラッキング、電流プロファイル自動制御 |
| ピンホール/ブリスター | 前処理不足、搬送遅延 | タイマー連結、移送最短化、活性条件の上限下限監視 |
| 角の焼け | 電流集中、立ち上げ不安定 | 自動ランプ制御、補助電極の自動位置決め |
| 薬液劣化 | 濃度・有機物管理の遅れ | オンライン濃度推定、活性炭処理の自動投入・アラート |
Q. どこから自動化すべき?
最初は計測とログ化です。異常検知ができれば、次に搬送や検査の自動化へ拡張しやすくなります。
Q. 全数XRFは必須?
量と形状によります。準全数+抜取で開始し、リスク部位のみ全数にするハイブリッド運用が現実的です。
Q. 人は要らなくなる?
いいえ。自動化は異常対応・改善・保全に人を再配置します。技能はむしろ重要になります。
最終更新:2025年12月13日(日本時間)。
