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ニッケルめっき合金(Ni-P/Ni-B)とは?特性・用途を理解する

更新日:2025.11.08

ニッケルめっきには、リンを含むNi-P(無電解ニッケルリン)と、ホウ素を含むNi-B(無電解ニッケルボロン)という合金タイプがあります。どちらもムラの少ない均一な皮膜が作れ、複雑形状にも向きます。この記事では、違いと選び方をやさしく整理します。

先に3つのポイント

  • Ni-Pは「防さび(耐食)と外観のバランス」が得意。海沿い・湿気の多い環境にも向きやすい。
  • Ni-Bは「硬さ・耐摩耗」が得意。摺動部・工具類・金型補修などに使われることが多い。
  • 熱処理の有無で性質が変わる(硬さ・はんだ付け性など)。用途と後工程を先に伝えると最適化しやすい。

Ni-PとNi-Bの違い

項目Ni-P(ニッケル+リン)Ni-B(ニッケル+ホウ素)
得意分野耐食性・外観、均一めっき高硬度・耐摩耗、均一めっき
見た目半光沢〜光沢、落ち着いた銀色ややグレーがかった銀色(仕上げで光沢可)
硬さの傾向標準〜熱処理でアップ標準で硬め、熱処理でさらにアップ
耐食性高い(特に高リンタイプ)Ni-Pよりはやや劣ることが多い
はんだ付け性熱処理条件で可否が変わる(要相談)条件次第。用途により下地や活性化を検討
主な用途装飾、機構部品、電装部品の下地、耐食部品摺動・摩耗部、工具、金型の補修や寸法調整

どちらを選ぶ?(用途別の目安)

  • サビに強く長持ちさせたい/屋外や湿気が気になるNi-P
  • 擦れる部品・滑りを良くしたい・摩耗を抑えたいNi-B(必要に応じて研磨やオイル管理も)
  • 複雑形状で均一にめっきしたい/薄肉や細かい溝がある → どちらも有効均一析出が得意)
  • 後で金・錫・はんだを重ねたい → 下地や熱処理条件を事前共有(Ni-Pの活用が多い)

設計と依頼のコツ

  • 目的を一言で:「耐食重視」か「耐摩耗重視」かを先に伝える。
  • 使用環境:屋外/海沿い/高湿/油や粉塵/温度条件など。
  • 後工程:研磨・はんだ付け・金めっき・塗装などの有無(熱処理の要否が変わる)。
  • 形状配慮:角は少し丸める(面取り)とムラや「焼け」対策に有効。ねじ山・嵌合部はめっき不要(マスク)指示を図で明確に。
  • 見せ面/治具痕:特にキレイにしたい面、治具痕を避けたい面を指定。
  • 数量と納期:まとめ依頼は段取り効率が上がり、コスト最適化に繋がりやすい。

長持ちさせる使い方

  • 使用後の拭き取り:水分・汗・油は早めに落とし、乾拭きで仕上げ。
  • 摺動部は潤滑:油膜を切らさない(Ni-Bでも無潤滑は摩耗が進みやすい)。
  • 強い研磨剤は避ける:微細傷はサビや摩耗の起点に。

よくある質問(Q&A)

Q. 見た目もキレイで、長く使いたいです。
まずはNi-Pが候補です。外観重視なら仕上げ方法(半光沢/光沢)やトップコートの有無も相談してください。

Q. 擦れて減る部品に使いたいです。
Ni-Bが向きます。必要に応じて熱処理や研磨、潤滑管理とセットで検討すると効果的です。

Q. はんだ付けや金めっきと組み合わせたいです。
下地や活性化、熱処理条件で相性が変わります。工程全体(誰がどこで何をするか)を事前に共有してください。

免責・不明点

  • 本記事は一般的な目安です。膜厚・熱処理・研磨条件・価格・納期は品物と設備で変わります。
  • 具体的な統一数値(硬さ・膜厚・耐食試験値など)は案件により異なり、本記事では一律値は確認できていません。見積時に最新条件をご確認ください。
  • 環境・安全・法令は地域差があります。加工会社の指示・地域ルールに従ってください。
投稿者プロフィール
ネオプレテックス株式会社
ネオプレテックス株式会社
群馬県高崎市にある老舗のめっき会社。クロムめっき、ニッケルめっき、銅めっきなどを手掛ける。
大型の層を配備しており、長尺物などに対応可能。