ネオプレテックス株式会社
コラム
COLUMN
2026.01.16

図面段階で確認したいめっき指定の注意点|設計者が見落としやすいポイント

更新日:2026.01.22

めっきトラブル(寸法不良、剥離、早期腐食、接触抵抗の悪化、外観クレーム)は、加工現場ではなく図面の指定漏れが原因になっているケースが多くあります。図面段階で「何を、どこに、どの程度、どう測って、どう合否を決めるか」を明確にすれば、手戻りとコストを大幅に減らせます。本記事では、設計者が見落としやすい注意点をチェックリスト化します。

図面で必ず揃える10項目

  • ①素材と履歴(材質・熱処理・既存皮膜)
  • ②めっきの目的(外観/耐食/耐摩耗/導電/はんだ)
  • ③層構成(下地→バリア→仕上げ)
  • ④膜厚の“下限”(目標値だけでなく最小厚)
  • ⑤測定点(A/B/Cなど位置を図示)
  • ⑥めっき後寸法(寸法基準と公差)
  • ⑦除外部位(ねじ/嵌合/シール/接点)
  • ⑧見せ面・外観基準(照度/距離/許容欠陥)
  • ⑨耐久試験条件(耐食/摩耗/接触抵抗の条件)
  • ⑩書類・トレサビ(検査成績書、ロット、SDS等)

見落としやすいポイント(原因別チェックリスト)

見落とし起こりがちな不具合図面での対策(書き方)
素材が曖昧(「鉄」だけ等)密着不良、腐食差、反り材質記号(例:S45C、SUS304、ADC12)と熱処理有無を明記
既存皮膜の扱い未指定(黒染め/リン酸塩/アルマイト等)層間剥離、局所剥がれ「皮膜除去後にめっき」or「皮膜の上に不可」を明記
膜厚が「目標値のみ」薄い箇所で寿命不足、クレーム「目標t=○μm、下限t≥○μm」をセットで記載
測定点がない合否が曖昧、再検査の嵐A/B/C点を図示、内面は治具・測定方法を指定
めっき後寸法の指定漏れ嵌合不良、ねじ固着寸法公差はめっき後基準、必要なら除外・後加工を明記
除外部位(マスキング)未指定ねじ・シール不具合、導通不良ねじ山、嵌合、シール面、接点の「めっき禁止/必須」を明記
見せ面が不明治具痕が目立つ、外観クレーム写真/スケッチで見せ面指定、治具痕許容面も指定
外観基準が言葉だけ判定ブレ、手戻り照度○lx、距離○cm、等級票No.○、許容欠陥(ピット径等)を明記
環境条件が書かれていない塩害・薬品で早期腐食海沿い/融雪剤/洗浄剤/温度サイクルを注記(条件が決まらないと最適化不可)
層構成の省略(例:Ni/CrなのにNi指定なし)期待性能不足、色調違い下地Niの有無、半光沢/光沢、Crの種類を明記(見本番号も)

図面にそのまま貼れる「指定テンプレ」

目的:外観(色調○○)+耐食(○○環境)。
素材:○○(熱処理:有/無、既存皮膜:有/無)。
層構成:(例)半光沢Ni t=○μm+光沢Ni t=○μm+Cr t=○μm。
膜厚:XRFでA/B/C点、下限:Ni t≥○μm、Cr t≥○μm(エッジ±××mm除外)。
寸法:図面寸法はめっき後基準。
除外:ねじ山・嵌合・シール面はめっき除外(マスキング)。
外観:見せ面=添付図、検査距離○cm、照度○lx、等級票No.○。
耐久:(例)塩水噴霧○h、点食なし(判定方法を明記)。
書類:検査成績書(膜厚/外観)、ロットNo.、SDS(必要時)。

図面段階での“確認会”チェック

  • 目的が一言で言える(外観/耐食/導電など)
  • 素材と履歴が書いてある(材質記号+熱処理+既存皮膜)
  • 膜厚に「下限」と「測定点」がある
  • めっき後寸法・除外部位が決まっている
  • 外観の判定条件(照度・距離・見せ面)がある

Q&A(短く)

Q. 膜厚はどこまで細かく指定すべき?
「測定点A/B/C」と「下限値」までが最低限です。形状が難しい場合はエッジ除外や内面測定方法も含めます。

Q. 見た目の指定は写真だけで足りますか?
写真だけだと照明やカメラで色がズレます。見本番号や等級票、照度・距離など判定条件もセットで決めるのが安全です。

Q. 標準の膜厚は?
用途・環境・層構成で変わるため、一律の標準値は本記事では確認できていません。試験条件とセットで最小必要厚を合意してください。

免責・不明点

  • 本記事は図面指定の一般指針です。最適な層構成・膜厚・試験条件は製品仕様と設備で変わります。
  • 規格・法令・顧客仕様は改定されます。実運用時は最新の原典・要求事項をご確認ください。

最終更新:2025年12月28日(日本時間)。

投稿者プロフィール
ネオプレテックス株式会社
ネオプレテックス株式会社
群馬県高崎市にある老舗のめっき会社。クロムめっき、ニッケルめっき、銅めっきなどを手掛ける。
大型の層を配備しており、長尺物などに対応可能。