同じ図面・同じ形状でも、めっき品質は前処理・浴管理・電気条件・形状配慮・検査で大きく変わります。この記事では、クロム(Cr)・ニッケル(Ni)・銅(Cu)それぞれの要点と失敗防止のコツをやさしく整理します。
目次
| 項目 | 狙い | ポイント |
|---|---|---|
| 前処理(脱脂・活性) | 密着と連続皮膜 | 油・酸化膜・錆の除去。材質に合った活性化を選ぶ。 |
| 浴管理 | 安定した析出 | 主成分・pH・温度・添加剤・不純物を適正範囲に。 |
| 電気条件 | 厚みムラ低減 | 電流密度・電圧・時間・極間距離。立ち上げは低めに。 |
| 撹拌・循環 | ピット/スジ抑制 | 液流でイオン供給を均一化。フィルタで微粒子除去。 |
| 形状配慮 | 過厚/薄付きを抑える | 面取りR、補助電極、治具位置、排液/排気穴の設計。 |
| 膜厚設計 | 性能と寸法の両立 | 「めっき後寸法」指定。測定点を図面化。 |
| マスキング | 不要部への析出防止 | ねじ山・嵌合・シール面を明確に指示。 |
| 検査・試験 | 客観評価 | 外観、膜厚、密着、必要に応じ耐食/導通試験。 |
| 症状 | 主因の例 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 剥離・密着不良 | 前処理不足、酸化膜、油残り | 脱脂・活性強化、ストライク採用、搬送時間短縮 |
| 厚みムラ(角過厚・穴薄) | 電流集中、排液不良 | 面取りR、補助電極、姿勢変更、排液/排気穴 |
| ピット・ザラ | 浴汚染、微粒子、撹拌不良 | フィルタ循環、活性炭処理、撹拌/温度の最適化 |
| 変色・点食 | 保管環境、上層不適合 | 乾燥保管、トップコート、Niバリアや上層再検討 |
| はんだ不良・接触抵抗↑ | 表面酸化、粗さ、上層選定ミスマッチ | 活性洗浄、表面仕上げ調整、Sn/Au等の上層見直し |
Q. どのめっきが一番長持ち?
用途次第です。外観+耐食=Ni/Cr、導電・はんだ=Cu(必要に応じNi/Au)、耐摩耗=硬質Crが目安です。
Q. 膜厚はどれくらい必要?
部位・寿命・層構成で変わります。統一の標準値は案件ごとに異なるため本記事では提示していません。見積時に条件共有を。
Q. 家庭用の小物でも対応可能?
対応可能な会社もあります。素材・見せ面・不要部・数量を伝えるとスムーズです。
最終更新:2025年11月20日(日本時間)。本記事は本記事時点の公知情報に基づいています。
