めっきトラブル(寸法不良、剥離、早期腐食、接触抵抗の悪化、外観クレーム)は、加工現場ではなく図面の指定漏れが原因になっているケースが多くあります。図面段階で「何を、どこに、どの程度、どう測って、どう合否を決めるか」を明確にすれば、手戻りとコストを大幅に減らせます。本記事では、設計者が見落としやすい注意点をチェックリスト化します。
| 見落とし | 起こりがちな不具合 | 図面での対策(書き方) |
|---|---|---|
| 素材が曖昧(「鉄」だけ等) | 密着不良、腐食差、反り | 材質記号(例:S45C、SUS304、ADC12)と熱処理有無を明記 |
| 既存皮膜の扱い未指定(黒染め/リン酸塩/アルマイト等) | 層間剥離、局所剥がれ | 「皮膜除去後にめっき」or「皮膜の上に不可」を明記 |
| 膜厚が「目標値のみ」 | 薄い箇所で寿命不足、クレーム | 「目標t=○μm、下限t≥○μm」をセットで記載 |
| 測定点がない | 合否が曖昧、再検査の嵐 | A/B/C点を図示、内面は治具・測定方法を指定 |
| めっき後寸法の指定漏れ | 嵌合不良、ねじ固着 | 寸法公差はめっき後基準、必要なら除外・後加工を明記 |
| 除外部位(マスキング)未指定 | ねじ・シール不具合、導通不良 | ねじ山、嵌合、シール面、接点の「めっき禁止/必須」を明記 |
| 見せ面が不明 | 治具痕が目立つ、外観クレーム | 写真/スケッチで見せ面指定、治具痕許容面も指定 |
| 外観基準が言葉だけ | 判定ブレ、手戻り | 照度○lx、距離○cm、等級票No.○、許容欠陥(ピット径等)を明記 |
| 環境条件が書かれていない | 塩害・薬品で早期腐食 | 海沿い/融雪剤/洗浄剤/温度サイクルを注記(条件が決まらないと最適化不可) |
| 層構成の省略(例:Ni/CrなのにNi指定なし) | 期待性能不足、色調違い | 下地Niの有無、半光沢/光沢、Crの種類を明記(見本番号も) |
目的:外観(色調○○)+耐食(○○環境)。
素材:○○(熱処理:有/無、既存皮膜:有/無)。
層構成:(例)半光沢Ni t=○μm+光沢Ni t=○μm+Cr t=○μm。
膜厚:XRFでA/B/C点、下限:Ni t≥○μm、Cr t≥○μm(エッジ±××mm除外)。
寸法:図面寸法はめっき後基準。
除外:ねじ山・嵌合・シール面はめっき除外(マスキング)。
外観:見せ面=添付図、検査距離○cm、照度○lx、等級票No.○。
耐久:(例)塩水噴霧○h、点食なし(判定方法を明記)。
書類:検査成績書(膜厚/外観)、ロットNo.、SDS(必要時)。
Q. 膜厚はどこまで細かく指定すべき?
「測定点A/B/C」と「下限値」までが最低限です。形状が難しい場合はエッジ除外や内面測定方法も含めます。
Q. 見た目の指定は写真だけで足りますか?
写真だけだと照明やカメラで色がズレます。見本番号や等級票、照度・距離など判定条件もセットで決めるのが安全です。
Q. 標準の膜厚は?
用途・環境・層構成で変わるため、一律の標準値は本記事では確認できていません。試験条件とセットで最小必要厚を合意してください。
最終更新:2025年12月28日(日本時間)。
